幼児教育「テファリキ」で子どもたちが学ぶことは?
ニュージーランドでは、1996年に導入された「テファリキ(Te Whāriki)」という教育方針に基づいて幼児教育が行われています。
日本でも取り入れている保育園がある「テファリキ」。
どのような教育方針なのでしょうか。
今回はこの「テファリキ」で子どもたちが学ぶことについてご紹介します。
■テファリキの実践は自由遊び
ニュージーランドの園で行われているテファリキを元にしたカリキュラムは完全な「自由遊び」です。
幼児教育施設はさまざまな遊びエリアがゾーンわけされ、どこの園にも
・砂場・水遊び
・アート、クラフト、大工・木工
・ごっこ遊び・お人形
・絵本
・ブランコ、滑り台などの遊具
のエリアがあります。
子どもたちを常に尊重し、完全に子ども中心のプログラム。
教師や保育士などの大人は子どもの遊びやそこから子どもが学び、成長していく様子を見守る役割に徹しています。
■テファリキの遊びエリア
朝、子どもたちが登園すると待っているのは各遊びエリアにセッティングされた遊び。
テーブルに先生方が手作りした粘土が並べてあったり、イーゼルに大きな紙とペイント用の道具が用意されていたり。
レジャーシートの上に女の子たちが喜びそうなお人形やお花が可愛らしくセッティングされていたり、大きな水槽に水が張ってあり、魚や恐竜の人形が並べられていたり。
用意された水は透明な水ではなく青い色水が使われているなど、園や教師、保育士の遊びのセンスや子どもたちに学ばせたいことが光り、より楽しい雰囲気になっています。
大工・木工エリアでは実際にカナヅチやノコギリをつかったり、家から持ち寄った空き箱やトイレットペーパーの芯などを利用して思い思いのものを豊かな発想で創り上げる姿がみられるでしょう。
一見危なそうなことでも子どもたちには成長につながる経験ですし、それを見守るのが先生の仕事です。
■テファリキの遊びから学べること
●コミュニケーションの手段
おもちゃの取り合いはどうしてもおこるトラブル。
これを子どもたちが自分たちで解決し、コミュニケーション能力を育みます。
教師や保育士は暴力に発展しそうになった時のみ仲裁に入りますが、それぞれお互いに感じた気持ちを話させて、相手の気持ちを理解するように導き、どちらが悪いなど言いません。あくまで子どもたち同士で解決できるようにします。
●疑問を調べることで解決する
遊びの中で疑問に思ったこと、問題に当たった時に「なぜ?」「どうして?」を教師が解決しません。
子どもたちに自分で調べたり、一旦問題を自分で解決させてその上で答えを見つけさせるようにしています。
大きさを比較したり、測ってみたり、推測して実験したり、考えることや探求する心を育みます。
●自分とは違うということへの理解・興味・喜びを育む
日本でも両親が日本人ではない子が増えてきています。
ニュージーランドは移民が多い国なので、容姿や文化が違う子がそばにいるのは当たり前のこととして受け入れられています。
教師は積極的に小さなイベントを企画して、子どもたちにさまざまな国の文化や言語を紹介して、子どものうちからいろんな人種がいて当たり前という環境を自然に身につけるのです。
他にも遊びによるさまざまなことを学び、子どもたちの個性によってその成長を促すことができるのがテファリキです。