きょうだいが同じ保育施設に通えるように基準見直し
川崎市は市議会文教委員会で、同じ保育所にきょうだいが通いやすくなるように利用調整基準を見直す方針を示しました。
この取り組みは、複数の子どもを持つ世帯の子育て負担を軽減することを目的としています。
来年4月の新規入所からこの基準を適用する予定であり、12日から1カ月間、パブリックコメント(意見公募)の受付も行われる予定です。
川崎市は保護者の声を反映させるため、幅広い意見を募集しています。
見直しできょうだい別々に通う世帯を10%未満へ
川崎市は、保育所の利用申し込みにおいて、きょうだいが同じ園に通いやすくなるような基準見直しを行う方針を示しました。
申し込みは市が一括して受け付け、各家庭の保育の必要度合いを「ランク」「指数」「項目」に分けて点数化します。
定員超過の場合、点数の高い家庭から優先的に入所できるように市が調整します。来年度の申し込み開始は、今年10月を予定しています。
今回の基準見直し案では、既に在園しているきょうだいの場合や同時申請で同じ園の利用を希望する場合について、従来の「1点」から上位の指数として「7」と設定します。指数7の家庭で競合がある場合は、生活保護などの世帯を優先する方針です。
きょうだいが別の保育所に通うことは、保護者の送迎負担や子どもの生活リズムに影響があるなどの課題があります。川崎市では、2020年度には市内の世帯のうち10.57%が別の園に通っていましたが、2023年度には12.29%に上昇しました。このため、市は改定によりその割合を10%未満にすることを目指しています。
一人っ子世帯への弊害はないのか
市議会文教委員会で議員から上記の質問がでました。
それに対して、こども未来局の担当者は、川崎市が待機児童ゼロを3年連続で達成していることを踏まえ、一人っ子世帯への弊害はないと述べました。
市では子ども1人でも希望の保育園に案内できるような状況が整っているとの認識です。
しかし、別の保育園に通うことで苦労している人々のために対策を講じる必要があると考えていることも明らかにしています。
一方、複数の子どもを育てる家庭への支援に関しては、多子減免制度における下の子の保育料の算定方法が問題視されています。
川崎市では国の基準に基づいており、上の子が小学校に入学すると対象外となるため、年齢差が大きい家庭には公平性に欠けるとの指摘があります。
今後はこうした年齢差が大きなきょうだいについても支援が途切れることがないように制度の見直しが必要となるでしょう。
こういった一自治体の制度の見直しが全国に波及し、さらなる子育て支援の向上が期待されます。