企業主導型保育園運営のメリットデメリット
企業主導型保育園は認可外保育園です。
しかし、公益財団法人「児童育成会」に申請し、一定要件を満たしていることで助成金が受けられます。
設備費と運営費の一部についてですが、認可保育園並みの助成金が受けられるのです。
一定要件を満たしていることが条件になるので、企業主導型保育園の運営を考えているのであれば、しっかりと確認しておきましょう。
企業主導型保育園運営のメリット
■保育のプロに運営を委ねられる
いざ従業員のために保育園を開設しようと思っても、保育事業の経験がない会社であれば、園の運営のスタートは戸惑うところでしょう。
企業主導型保育園であれば、運営を保育のプロに依頼することができます。
保育のノウハウをイチから学んで運営に活かさなければと考えずとも大丈夫です。
企業主導型保育園は参入しやすい仕組みになっていることがわかります。
■複数の企業で協力して運営できる
従業員のための保育園を作る場合、ひとつの企業で運営を行うとなるとうまくいくか不安になります。
特に中小企業の場合は運営するための決断に踏み切れないという企業もあるでしょう。
しかし、企業主導型保育園であれば、複数の企業が共同して保育園を設置できます。
複数の企業同士が協力して運営するため、安心して開設に踏み切れるでしょう。
■働きやすくできる
●出産・育児で職場を離れた女性が復帰しやすい
認可保育園の場合、入園の申込みは自治体にしなければなりません。
申込み申請のための条件もフルタイムで就労していないと優先的に入園できないのが現状です。
出産後の女性で、子どもを認可保育園に預けられず職場復帰できないという方は大勢います。
そんなときに企業内に保育所があれば、女性が職場に戻りやすくなるでしょう。
企業主導型保育園であれば、自治体を通さず施設と保護者が直接契約できます。
保護者のニーズに応えるための企業主導型保育園なので、今まで認可保育園の入園が難しかった週2~3日の労働者の場合でも、契約が可能です。
短時間労働からスタートが可能なら職場に復帰したいと考えている女性も復帰しやすいでしょう。
復帰がしやすい職場環境は人材流出を防いでくれます。
●従業員にとっても働きやすい職場になる
認可保育園の基本的な開園日は月曜から金曜日まで。
土曜も対応してくれるところがありますが、平日より短い時間になっています。
そのため、土日祝日に働いているという保護者には預けにくい仕組みです。
企業主導型保育園の場合は会社の運営時間に合わせて開所時間も柔軟に設定できるので、より子どもたちを預けやすいシステムになっています。
土日祝日に営業している会社の従業員にとっても、子どもを預けて働きやすい環境になるでしょう。
■柔軟に園児の受け入れを決められる
企業主導型保育園は認可外保育園に分類されるので、認可保育園に比べると自由度が高く、運営のしやすさが魅力です。
国の基準を満たしている「事業所内保育園」は従業員の子どもたちだけでなく、地域の子どもを受け入れることが義務づけられています。
認可外となる「企業主導型保育園」では従業員の子どもとは別に地域の子どもを受け入れることは任意です。
敷地面積やスタッフの配置基準も認可園と比べると緩やかなので、柔軟に対応してくれる園といえるでしょう。
■企業の価値を上げられる
女性の働き方改革が進み、女性が働きやすい職場環境を作ることを企業に求められています。
その観点から企業内に保育園を設置すると「女性の雇用に力を入れている会社」と認知され、「育児を支援する優しい企業」であることを内外にアピールできます。
地域の子どもたちを受け入れることもできることから、待機児童の解消に貢献し、企業の社会的責任を果たすことにつながります。
■補助金を受けられる
通常、認可外保育園は、国や自治体の基準をクリアしていないことから直接的な助成がなく、保育料を高く設定し、保護者に負担をお願いすることで存続しています。認可外保育園では保育料を支払うことができないため保育園に申し込むことができないという保護者もいるのです。
しかし、企業主導型保育園は、認可保育園並みの助成・補助金が受けられる制度になっています。
企業主導型保育園運営のデメリット
■認可外保育園に対するイメージがよくない
保育施設は行政の監督下で運営されています。
それは認可保育園か認可外保育園かに関わらないので、認可外保育園だから保育の質が低いということは必ずしもありません。
しかし、認可外施設による園児の事故などは多く、保育の質に不安を覚える保護者は少なくないでしょう。
安心して子どもを預けてもらうために必要なことは、見学会やホームページなどで積極的でオープンな情報開示を行い、認可外施設への先入観を持たせないことが重要です。保育スタッフの振る舞いが園の評判に大きく影響します。スタッフのスキルアップも必要でしょう。
■異業種からの参入でノウハウがない
もともとは社会福祉法人などが運営母体の場合に限って開設が許されていた保育施設。
規制緩和によってNPO法人や一般企業も参入可能となりました。
とはいえ、運営のノウハウが蓄積されていない異業種からの参入は、開設までに道のりが険しくなりがちです。
企業主導型保育園であれば、保育専門業者に運営を委託することを許されているので、上手に利用しましょう。
保育士の少ない中、企業主導型保育園を開設するなら保育ICTシステムは欠かせません。
その辺りも踏まえて保育のプロに相談し、企業主導型保育園を開設して社会に貢献しましょう。