厚生労働省、保育所の多機能化を推進
少子高齢化が進む中、コロナ禍も影響し、2021年に国内で生まれた子どもは、80万5千人程度となる見通しとなっています。
合計特殊出生率(15~49歳の女性が生涯に生む子どもの数)は1.34で、2019年から0.02ポイント減少し、5年連続で低下しています。
そのような状況の中、今年度、全国の待機児童数が過去最小となり、今後も同じペースで待機児童数が減少した場合、あと3年で待機児童がいなくなる計算になるそうです。
0歳児の定員割れが進んでいる
現在地方を始めとして東京23区でも定員割れをしている園が増えてきており、特に0歳児の定員割れが多く発生しています。
0歳児の定員割れを起こした原因として、コロナ禍によるテレワークの推進、育児休暇制度の充実、企業主導型保育園の増加、などがあげられています。
認可保育園は、自治体から支払われる「委託費」によって運営していますが、委託費は、国が決める公定価格(子ども1人あたりを保育するのに必要な費用)に、利用する子どもの数を掛けることで決まるため、定員割れはそのまま保育園の存続に直結します。
2025年には保育利用児童のピークに
厚生労働省はこのまま、少子化が進むと、2025年に保育利用児童のピークに達し、以後は保育の“供給過多時代”が到来するとしています。
この保育の“供給過多時代”を見据えて、厚生労働省では、
(1)人口減少地域の保育所の在り方
(2)多様なニーズを抱えた保護者・子どもへの支援
(3)保育所・保育士による地域の子育て支援
(4)保育士の確保・資質向上
の4点が議論されています。
今後は、待機児童対策に引き続き取り組みつつも「人口減少地域における良質な保育の提供継続」を大きな柱に位置付け、保育所の多機能化なども進めていくべきだとしています。
保育園の多機能化
保育の多機能化については、普段通所していない0~3歳未満児の一時預かり事業、障害がある子どもの児童発達支援事業、子ども食堂の併設などが具体例に挙げられています。
また、多機能化を推進するための改修費や設備費用の支援などの制度作りも必要とし、実現に向けての意見が交わされています。
いかがでしたでしょうか。
政府は待機児童解消のために小規模保育園や企業主導型保育園の設置を推進してきましたが、保護者が求めるのは、保活が少なくて済む0歳から5歳まで一貫して安心して預けることができる大規模認可保育園です。今後少子化が進むと、小規模保育園や企業主導型保育園の運営が厳しくなることが予想されます。
数年後には訪れる保育の“供給過多時代”を見据えて、どのように園児を確保し、園を地域社会において位置づけしていくのかを考える必要があるでしょう。