保育お役立ち情報

子どもの貧困解消法が6月19日に成立

2024.9.14 保育お役立ち情報 , , , , , , ,

「こどもの貧困対策法」を改正した「こどもの貧困解消法」が6月19日に成立いたしました。この改正により、貧困の解消を目的とすることが明確化され、子どもたちが適切な養育や教育、医療を受けられるようにし、さらに多様な体験の機会を提供することで、権利の侵害や社会的孤立を防ぐための対策が進められていきます。
(※2024年6月26日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)

子どもの貧困解消に向けた新たな法改正とその意義

改正された「こどもの貧困解消法」では、子どもの現在の貧困を解消し、将来的な貧困を防ぐことが基本理念に追加されました。妊娠・出産から子どもが大人になるまでの一貫した支援が必要であることが強調されております。
また、国や自治体には、貧困状態にある子どもたちへの学校教育の充実や体制の整備、民間団体が行う支援活動への財政的支援、そして貧困実態や支援の在り方についての調査研究とその成果の活用が求められるようになりました。
昨年末に政府が閣議決定した「こども大綱」では、「生活保護世帯に属するこどもの大学等進学率」など、貧困対策のための指標が掲げられました。今回の改正法では、新たに「ひとり親世帯の養育費受領率」が指標に追加され、その改善が目指されています。
さらに、今国会では、少子化対策を含む改正「子ども・子育て支援法」も成立し、ひとり親世帯への児童扶養手当の拡充などが盛り込まれましたが、第3子以降の加算額引き上げに限られている部分もあります。
この改正法は、超党派の「子どもの貧困対策推進議員連盟」によって取りまとめられ、すべての子どもを支える施策に加え、特に手厚い支援が必要な子どもたちへの施策の拡充が強く求められています。
「こどもの貧困解消法」の成立後、支援団体が会見を行い、認定NPO法人キッズドアの渡辺由美子理事長は、「定期券が買えず不登校となり、学校を辞めざるを得ないなど、栄養も取れず学校に通えない子どもたちへの対策を優先してほしい」と訴えました。

子どもの貧困と教育費負担への切実な訴え

公益財団法人「あすのば」(東京都)が2023年に実施した調査によると、生活保護受給世帯や住民税非課税世帯に属する子どもや若者、保護者が厳しい生活環境に直面していることが明らかになりました。この調査では、保護者の90%が教育費負担の軽減を望んでいることが示されています。
調査に参加した4012人の保護者の平均世帯年収は178万円で、74%が貯蓄が50万円未満と回答しています。新型コロナウイルスの影響で「失業・休業・転職などにより収入が減少した」という回答が53%、また「物価や光熱費の高騰で家計がさらに苦しくなった」という回答が85%に達しました。
支援制度としては、「奨学金や授業料減免など、教育や進学にかかる費用負担を軽減する制度」が最も多く希望されています。一方で、行政の手続きや相談に対して59%が「屈辱的に感じたことがある」と回答しており、支援のあり方についても課題が残る状況です。また、子ども食堂については「利用したかったが、利用できなかった」という回答が46%となっています。

子どもたちの生活と精神状態の厳しい現実

子どもや若者1,862人を対象とした調査によると、朝食を「毎日食べる」と答えた小学生は63%、中学生は51%にとどまり、入浴を「毎日する」と答えた小中学生はいずれも70%でした。また、授業が「いつもわかる・だいたいわかる」と感じている小学生は37%、中学生は16%で、部活動に参加していない中学生は42%、高校生は50%に達しています。
大学生や専門学校生のうち、奨学金や学費免除を受けている人は92%にのぼり、そのうち25%が「奨学金だけでは足りず、アルバイトによる負担が大きい」と答えました。
さらに、小学生から高校生までの子どもたちの35%が「孤独を感じることがある」と回答し、18%が「消えてしまいたい」と感じることがあると答えています。
政府の調査によると、2021年の子どもの相対的貧困率は11.5%であり、ひとり親世帯では44.5%に達しています。公益財団法人あすのば代表理事の小河光治さんは、子どもたちの生活や精神状態が非常に厳しい状況にあることを指摘し、「『消えてしまいたい』という声は『死んでしまいたい』という思いに近く、貧困は命を脅かす深刻な問題であると認識してほしい」と強調しています。

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