園で知っておきたい発達検査について
保育園を運営する上で、発達の気になる子や集団生活を送る上でなんらかの困難を抱える子がいることでしょう。
本当に発達障害かどうかは、専門機関において医師や臨床心理士などによる検査を受ける必要がありますが、
実際にどのような検査が行われるかについてご紹介します。
発達検査とは?
発達検査とは、子どもの発達の程度を調べる検査のことです。発達と同時に知能を調べる検査もあります。
発達検査というと、発達障害のスクリーニングのために行われると考えられている方が多いようですが、
実際は、子どもの苦手とすること、得意なことなど客観的なデータを取ることで、
より子どもが生活しやすいように具体的な支援計画を設定する目的で実施されています。
発達検査の種類
発達検査は実施機関によって取り扱っている検査が異なりますが、代表的な発達検査は以下の通りです。
・新版K式発達検査2001
京都市児童院で開発された発達検査で、0歳児から成人まで適用可能となっています。
「姿勢-運動」「認知-適応」「社会-言葉」の3領域で発達の程度を測定し、3才以上からは、「認知-適応」「社会-言葉」の2領域に重点をおいて検査されます。
検査は主に子どもがなじみがあるおもちゃやミニカーなどで検査するため、
子どもの自然な行動を観察できる点がメリットです。
・遠城寺式乳幼児分析的発達検査
九州大学の遠城寺宗徳教授らによって発表された、乳幼児向けの発達検査法で、0歳児から4才7カ月まで適用可能となっています。検査内容は「運動」「社会性」「言語」の3分野となっており、「移動運動・手の運動・基本的習慣・対人関係・発語・言語理解」の6つの領域で診断することで、子どもの全体的な発達の様相をチェックします。
特別な器具を使用せず、検査の所要時間は15分程度となっています。
・KIDS(キッズ) 乳幼児発達スケール
「公益財団法人発達科学研究教育センター」によって発表された、全国38都道府県の乳幼児約6,000名を元に標準化された発達検査です。0歳1か月~6歳11か月まで適用可能となっています。
こちらは、子ども自身が回答するのではなく、保護者など対象児について、その日頃の行動をよく観察している人が、約130項目からなる質問について子どもの日頃の行動に照らして、◯×で答えます。
こちらは実施が簡単なため、発達の専門機関以外でも、自治体にある児童発達支援センターや、家庭児童相談室などでも受けることができます。
いかがでしたでしょうか。
発達検査というと専門機関でしか取り扱えないものですが、子どもを支援する側として、どのような検査があって、どのようなことが実施されているかは把握しておきたいものです。
また、保育システムでは、このような発達検査をこれまで保育者の主観で行っていた発達記録に役立てるための取り組みが始まっています。
今後はより、このようなエビデンスベースの保育や支援が必要となってくるのではないでしょうか。