保育園ICT関連ニュース

保育ICTシステム導入における懸念点とは?

2021.2.2 保育園ICT関連ニュース

保育ICTシステム導入の懸念点とは

保育現場の業務軽減のために、保育ICTシステムの導入をしている園は年々増えていますが、それでも導入には積極的になれない理由が施設によってそれぞれあるようです。保育の現場側からどのような懸念点、不安の声が上がっているか、またそのような声について解決の方法があるかについてお伝えします。

保育園における保育ICT活用状況

令和元年に宮城県が行った調査によると、県内の保育施設におけるICTシステムの導入については、
導入済が20%、未活用だが関心ありが60%、未活用かつ関心なしが20%という結果でした。
ICTシステムの歴史は1985年までさかのぼるものですが、実際に教育や保育の現場での使用が検討され始めたのはここ数年のことです。そのため、現在急激に政府主導のもとICTシステム導入を推進しようとしていますが、なかなか現場がおいつかない現状があるようです。

※令和元年 宮城県 保育施設における ICT 等利活用状況調査結果より引用

ICTシステム導入に伴う懸念

ICTシステムを保育の現場で導入する際の懸念としては以下のような声が上がっています。

①パソコンやタブレットといった電子機器操作の抵抗感

保育の現場には、様々な年齢層の方が働いていますが、特に年齢層が高い方にとっては、これまで手で書いていたものを急にパソコンやタブレットで入力となるのは、システムを扱う前にまずデバイスそのものの操作になれなければならず、負担に感じたり抵抗があるのは当然でしょう。
操作になれていないと、手書きならばすぐに終わるようなことでも、パソコンでは倍以上の時間がかかったり、誤って操作してしまったりして、余計なストレスを抱えることにもつながっているようです。
そのような現場の声を解消するため、現在の保育システムはアイコンや文字が大きめ、1つの画面の情報も少なめにし、パッと見てなんの機能か分かりやすいようなナビゲーションデザインにされていたり、入力のストレスを減らすために、音声での入力に対応しているところもあります。

②保育に関わる事務業務をICTシステム化へ移行するための業務負担や時間的余裕がない

保育ICTシステムを導入する場合に、一番のネックになると思われる部分でしょう。
どの施設でも多忙を極める中、新しいシステムに移行をするためにはそのための準備や打ち合わせ、
現場スタッフはもちろんのこと、保護者対応なども合わせて対応が必要になってきます。
また、システムに導入されている書類形式が、普段使用しているものと違うとなると、これまでのルールを変更したり、あるいはシステム会社へカスタマイズの依頼が必要になったりします。
片手間でできることではなく、ある程度まとまった期間が必要になるため、導入には、準備期間を含めた以降までの計画を立てることが必要です。
保育システム会社では、システム導入時の現場スタッフへの説明や研修を請け負ってくれるところもありますので、移行計画時に相談してみると良いでしょう。

③ICTシステム導入にどのくらいの費用が掛かるかわからない

保育ICTシステムを導入するには、補助金制度がありますが、そもそもその補助金内で収まるものなのか、
また、年単位で運営してトータルでどのくらいの費用がかかるものなのかが分からないという意見もあります。
ICTシステムを導入するには、システム利用費以外にも、ICカードリーダーやカード代、無線LAN環境やパソコンなどのデバイスが必要になります。
多くの保育システム会社のサイトでは、システム利用費のみの記載となっているため、自施設の規模でどのくらいの費用が掛かるのかという点については、保育システム会社へ直接問い合わせて確認してみましょう。

④手対応でしていたことをシステム任せにすることに対する安全性への不安

午睡チェックなど目視でしっかりと対応していたことを、業務軽減といって機器まかせにしていいのか、
保護者情報などの個人情報を扱うのに、情報の安全性は守られるのかという懸念もあります。
サーバー上の安全性については、各社セキュリティ対策を行っていますが、その強度は会社によってまちまちですので、具体的にどのような対策をして、情報が守られているのか、ということを確認し、しっかりと答えられるシステム会社を選ぶと良いでしょう。

また、ICTシステムは各書類業務において、情報を共有することにより、入力の手間を軽減することに長けているものです。そのため、ICTシステムを導入しても保育業務における目視による安全確認は引き続き対応が必要でしょう。

⑤ICTシステム導入するための専門知識がない

ICTシステムを導入したいが、具体的に何から始めたらいいかわからない、システム上やネット上で何か問題が起きたときに、園内ですぐに対応できるものがいない、という懸念もあるでしょう。
このような場合、園内でシステムに詳しい方がいなくとも、システム会社側がサポート専用電話などでトラブルの対応をしてくれたり、遠隔でパソコンを操作してリカバリー対応を行ったり、あるいは出張サポートが受けられるところもあります。システム導入後のサポートがないところもありますので、具体的に導入時やトラブルの際にどのようなサポートが受けられるかについて、システム会社に事前に確認しておきましょう。

 

いかがでしたでしょうか。
保育ICTシステム導入が進んでいるといっても地域差があり、まだまだ導入が進んでいないところもあるようです。
しかし、これまで導入を躊躇していた園でも、時代の流れに合わせて柔軟に対応していく必要もあるでしょう。
まずは、自施設の状況でICTシステムを導入した場合に、どのようなメリットがあるか、どのような懸念点があるかというところからまとめておくと、システム会社への相談や問い合わせ時の導入相談がスムーズに進むでしょう。

 

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