保育ドキュメンテーションの課題
「保育ドキュメンテーションとは」でもお伝えしている通り、「保育ドキュメンテーション」は保育の質をあげる上でとてもメリットの大きな取り組みです。
保育を見える化し、子どもたち1人ひとりの行動を観察して次の活動に活かし、保護者とのコミュニケーションを深めることもつなげることができます。
しかし、その分保育士への負担は大きいもの。どのような負担とはどのようなものでしょうか。
保育ドキュメンテーションを導入するメリット
保育ドキュメンテーションは、文字や画像などで保育活動を記録として残し、子どもたちや保護者に公開、保育士も振り返りに使うことで保育を見える化し、保育の質を上げることなどを目的としています。
保育士同士で情報共有が簡単にでき、それによって保育の振り返りが具体的にできます。
活動中の子どもたちの表情や反応、発達の状態などが写真や動画で確認できるため、子どもたち1人ひとりに合わせて次の活動に活かし、つなげることができるため保育の質向上が期待できるでしょう。
保護者へも連絡帳のテキストだけでなく、画像などで伝えることで安心感を得て、コミュニケーションを深めるきっかけづくりにもなります。
保育ドキュメンテーションを導入する際の課題
保育の質が向上し、保育士同士や保護者との人間関係が良好に構築されていくのであればメリット満載のような保育ドキュメンテーションですが、大きな課題があります。
個人情報の管理
日々の保育の撮影をする際個人情報となる顔写真を公開することをNGとしている保護者がいます。
自衛のためですし、個人情報保護の観点から保育施設側も許可がないお子さんは写真を公開しません。
しかし、どうしてもOKの子とNGの子が一緒にフレームインしてしまうとぼかしを入れたりして処理をしなければいけなくなるため、その分の手間が保育士の負担となってしまいます。
個人情報の管理は欠かせないのです。
撮影の際の安全性
子どもの特性を理解し、行動を予測した上で撮影をしなければいけません。
保育士の経験と直感による力量が問われますし、なによりも子どもの安全が最優先である以上、いつでも保育ドキュメンテーションや連絡帳機能のための写真撮影ができるわけではないのです。
手元のスマホやタブレットでさっと撮影するにしても、のちのちその行動がなにを意味しているのかがわかる写真でなければならないため、カメラマンとしての力量も大切になるでしょう。
ノンコンタクトタイムの手間
保育ドキュメンテーションとして保育活動と画像、テキストをまとめる時間が必要になります。
保育士は多忙なため、勤務中に子どもたちから離れて事務作業等をするノンコンタクトタイムの確保も一苦労です。
そのなかで保育ドキュメンテーションのまとめを行うための記録まとめの時間は捻出が大変。
上記の通り写真を公開してはいけないお子さんや、写真を撮られるのが好きではないお子さん、興味津々にべったりくっついてくるお子さんなど撮影するお子さんが偏らない工夫、配慮も必要になるので負担が大きくなります。
保護者やお子さんとの会話、コミュニケーションのきっかけにもなる保育ドキュメンテーション。
ICTシステムの導入でノンコンタクトタイムや事務作業時間をできるだけ効率化し、子どもたちとのふれあいの時間、撮影をする時間を増やすという環境を整える必要があるでしょう。