保育士の離職が止まらない園の特徴
子どもたちとずっと遊んでいるという心ないイメージをもたれがちな保育士。
離職率が高い職種ではありますが、特に保育士のために環境を整えていない保育施設は保育士の離職が止まらなくなっています。
では保育士が辞めたくなる保育施設の特徴とはどのようなものでしょうか。
ご紹介していきましょう。
■給与が低い
保育施設の種類や地域、保育士の経験年数などによって保育士の給与は異なってきます。
しかし月額給与が手取り約15万円以下など、仕事の量・子どもたちの命を預かるという責任と賃金が釣り合わないと感じている保育士は少なくありません。
それに加え昇給がない、手当補填がないとなると不満を感じる保育士がいるでしょう。
厚労省も処遇改善を行っていますが、保育士自身の生活が改善されるに至っていません。
将来への不安を感じると他の待遇がいい保育施設に移ることを考えてしまうでしょう。
■休暇制度が整っていない
シフト制や固定時間勤務など、開園時間に合わせて柔軟に保育士を配置できるよう配慮している保育施設。
しかし、利用者には便利な反面、保育スタッフは休みをなかなか取れないという状況です。
月曜から土曜まで保育を行い、日曜にお遊戯会や運動会などの行事が入るとその週は休みが取れないという保育士もいます。
体調不良で休みたいときも代わりの保育士を探さなければならないという園もあるのです。
休みづらい、有休が取れない、産休・育休・介護休暇などがないため将来が不安、と考える保育士もいます。
■時間外労働が多い
保育士は保育以外にもさまざまな業務に当たります。
清掃や制作、事務作業や保育計画など。それによって所定の労働時間より長く働いているケースがあります。
法定労働時間は、1日8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはならないと定められています。
保育施設によっては休憩時間がないなど、勤務形態に疑問や不満を感じる保育士もいるでしょう。
保育施設の開園時間によっては保護者が向かえに来るまではサービス残業が続くという場合も。
負担が多すぎると継続勤務はできないと考える保育士もいるでしょう。
■持ち帰り仕事が多い
サービス残業も多い保育士。
長く園にとどまっていられない場合は業務時間以外に自宅に持ち帰って仕事をしなければいけません。
それが当たり前のように持ち帰りの仕事が多い職種として知られています。
指導案や制作物の作成、報告書などは園側の配慮がなければ業務時間には終わりません。
園側が家で行うのが当たり前という認識でいたら、改善は見込めないでしょう。
持ち帰る仕事が多い場合、負担が大きく辞めてしまう保育士は少なくありません。
■配置基準ギリギリの保育士人数
慢性的人材不足の保育施設。多くの園は保育士一人ひとりの負担や責任が重くなっています。
保育業務に影響を及ぼすだけでなく、保育士のケア不足にもつながります。
ここでICT化を進めていれば情報共有や園児の管理等も楽なるのですが、そこも人材不足のせいでうまくいかないのでしょう。
その上に人間関係がよくないなどの問題が発生すると、もう保育士の離職は避けられません。
同僚や園長と人間関係が悪い場合、保護者や子どもたちからの信頼も得られない危険性をはらんでいます。
■保護者への対応が保育士任せ
人間関係がよくないことにも繋がってきますが、保育環境が悪いと保護者とのトラブルも起きやすくなります。
そこで保護者を立てながら保育士がフォローを入れても保護者が納得しない場合がでてくるでしょう。
クレームに繋がる可能性が出てくる場面になって、保育士が園長や主任保育士に相談してもとりあってくれなければどうでしょうか。
本来なら園全体での対応を求められるはずなのに、保育士個人に対応と責任を押しつけられたら、信頼関係処は崩れてしまいます。
■保育観のすり合わせができない
英語学習やリトミックを取り入れている保育施設があります。
保育方針に則って保育活動を行いますが、保育士によって保育観が違ってしまうと問題が起こります。
英語学習が苦手・リトミックをしたことがないのに求められるなどです。
保育士が壁にぶつかったときに考えのすり合わせができる環境があればいいですが、戸惑ったまま保育を続けて、やがて辞めてしまうということに繋がりかねません。
苦手をフォローする環境や、経営側の方向性が離職の歯止めになるのではないでしょうか。
保育士がよりよい環境の中で働くことができるように、ICTシステム導入をはじめ、業務の効率化を図って保育士の負担を軽くするようにしましょう。
保育士が安心して働ける環境を創ることで離職率を下げるよう努力してみてはいかがでしょうか。